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器用くんと天才くん

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 「気難しい天才同僚は実は訳あって夜だけ犬の姿になってしまう呪いにかかっているので会社の飲み会に参加しない。器用くんはいつもそれを気にかけていたが、ついに今日は飲み会を切り上げ、天才くんのアパートに突撃しに行く。みたいな社会人のTFありBL下さい。」
の自分のつぶやきから、気分が乗ったのでやや短めのお話を書きました。
断片的な語り口だし視点がコロコロ変わります。推敲もしてない。

それでもよろしければ追記からどうぞ。
その日偶々鍵を忘れてしまった天才くんは、仕方なく裏庭ですやすやと眠っていた。なにやら寝息が聞こえる方へ赴くと、眠る犬と、同僚のものであろうくしゃくしゃになったスーツと鞄。器用くんはそれを見てぎょっとし、とりあえず犬を抱きかかえて鞄とスーツを回収し、自分の実家に連れて帰るのだった。
この犬やたらとでかいし同僚は食い殺されたのではなかろうかと思いつつ実家で犬を撫でていると、そいつは突然跳ねるように身を起こして目を覚まし、ひどく動揺した様子で辺りを見回す。器用くんと目が合う。暫く硬直した後、決まりが悪そうに目を逸らす。
その動作が天才くんのそれに酷く似ていたため、からかい半分にその名を呼べば、自分の目の前で顔をしかめてお座りをしている犬の耳がピクリと動き、面倒臭そうにため息を吐いた。あまりにも人間臭いその動作に器用くんはつい笑みを漏らし、天才くんのシャツなどを洗濯してやるのだった。
ひどく楽観主義な器用くんは、明日になれば同僚もふらりと現れるだろうなどと悠長なことを考えながら、めっちゃ抵抗する、天才くんによく似た犬に、昔飼ってた犬の首輪とリードをつけ、コンビニへ犬用のメシを買いにいった。
深夜のお散歩でリードを引かれる犬は終始嫌そうにこちらを睨みつつも意外と大人しくしているし、噛みつきもせず吠えもしない。お前ほんとに同僚に似てるわ、とケラケラ笑って頭を撫でようとする、爪が綺麗に手入れされた器用くんの手を犬の前脚で払いながら、再び部屋へ戻った。
器用くんは天才くんの話を、彼によく似た犬に包み隠さず喋ってしまう。コミュ障なこと。顔はそこそこ整ってるしなんか影があるので物言いさえ直せば女子にモテそうなところ。仕事がめちゃくちゃできて憧れていること。さりげなく仕事手伝ってくれることがあって、優しいところもあるということ。など。
犬はお座りの姿勢を取りながら、うつむいて、黙ってそれを聞いていると、器に盛られたドッグフードと水を差し出された。この姿で物を口にすることは無かったが、同僚が胡座をかいて、にこにこしながらこちらを眺め、コンビニの弁当を食べ始める。
普段なら犬に変わってしまう前に軽く野菜などを食べていたので、正直腹が減っていた。目の前の「エサ」の香りも食欲を唆り、口内に涎が湧き出てくる。同僚は隣で弁当を口に運びつつ、食っていいよーと頭を撫でてくるので、仕方なく餌に口をつけてみる。
犬の歯は食物を何回も咀嚼することに適していないため、数回餌を噛んで飲み込んでしまうが、見た目の割に不思議と味が濃く、美味しく感じられた。同僚は、美味いか!と満足そうに笑う。お人好しなやつだと鼻を鳴らしつつ、その晩は彼の家でメシをご馳走になった。
メシが済むと、同僚に風呂に入れられ体を洗われた。こればかりは嫌だと必死で暴れたものの、水を掛けられると抵抗する気が削がれてしまったので、屈辱感に身を震わせながらそれを受け入れた。局部も丁寧に洗われながら、立派なもん付けてるな、と笑われる。元に戻ってからこいつに会わせる顔が無い。
風呂が済むと、同僚の畳の部屋の、布団を敷いた上に寝かされた。夜はまだ冷えるから、暑かったら適当に蹴ってくれと布団を一枚かけてもらう。色々あって気疲れもしたせいか、その晩はあっという間に眠りに落ちていった。
翌朝器用くんがアラームの音で目覚めると、隣で寝かせたはずの大きな犬はそこに居らず、かわりに見知った、天才の、根暗の、コミュ障の同僚が、おそらく全裸で、昨日拾った犬に貸した布団に包まってスマホを弄っていた。迷惑そうに、休みの日くらいアラーム切っとけと吐き捨てるように告げる。
「……ごめん、何回か鳴らした? 」「お前、朝だけで何回目覚ましかけてんだよ。一発で起きれないのか。だらしない」不機嫌そうにこちらに視線だけ寄越してそう言うと、再びスマホを弄りだす。「で、なんで、お前……犬は?昨日俺とヤったの?そういう仲だっけ?俺、男は多分初」「落ち着け」
そんな事実は無いしお前は普段から忘れるくらい酒と性欲に溺れてるのか、と軽蔑を含んだ口調で突き放される。ごめん。でも、本当に覚えてない。器用くんがLINEやツイッターを遡っても昨晩の飲み会の形跡があるばかりだ。うんうん唸りながら思い出そうとしていると、同僚がぼそりと口を開く。
「昨日は世話になった」「は?」「あの犬が、その……」言い淀み、不機嫌そうにため息を吐く。目を逸らす。その動作がいかにも、昨晩の犬のそれに酷似している。器用くんはまた、おかしくなってしまい、笑いながら、からかう調子で口を開く。「おうおつかれ!メシは美味かったか?」「悪くなかった」
「え?」「……」同僚は決まりが悪そうに頭を掻いた。「いや、お前さ、それは〜、さすがにキャラ違くね?天才ジョークって割には雑だし……いや逆に新しいってやつか」「……これ、返す。俺には必要ないから」そう言って乱雑に手渡されたものは、昨日拾った犬につけっぱなしにしていた首輪だった。
「マジ?」躊躇いがちに頷く天才コミュ障同僚。「ええー」「俺が嘘をついたことがあったか」「清々しいまでに無いですね。そのせいで先輩怒らせたこともあったね。うわ、ないわ。うわー。あっそうだ!ごめんねチンコ触っちゃって「それは忘れてくれ。頼む」
このうるさく器用な遊び人の同僚は、非常にしつこく、天才くんが犬になってしまった経緯を聞いてきた。昨晩拾ってもらった恩もある。もしあのまま裏庭で寝ていたのが大家に発見されたならば、俺は保健所行きだったかもしれない。それに、鞄の中の身分証によって身元の確認が取れなければ警察に探されてちょっとした騒ぎになっていたかもしれない。それらの事件は朝になれば即座に、自分にとって最悪な方向で解決しただろう。会社をクビになっていたかもわからない。そう考えると、こいつが知りたがっているならば、この体について話すことくらい安いものだと思ってしまう。
根暗コミュ障の同僚に淡々と話されたことは、やはり理解し難いものだった。彼が言うに、昔からこの性格だったせいで多くの人の怒りを買ってきたことは気付いていたし、時にいじめを受けることもあった。しかし、大学3年の冬の夜、なにやらおぞましい酷い悪夢に魘される。
自分が要らぬことを言って怒らせたり、悲しませてきた知人たちが自分を取り囲み、じっとこちらを見つめている。彼らは無表情であったが、突如一斉に目を見開くと、黒い気体に変わり、自分にまとわりつく。息ができない。体が鈍い音を立てて歪んでいく。あまりの痛みにその場に膝をつくと、骨格はさらに変化していき、ついには四つ脚でその訳の分からぬ地に立ちもがいていた。ふと闇が晴れると、そこは大学近くの下宿先の、自分の部屋であった。変わったことはなにもなかった。自分の体を除いて。
それからというもの、夜がふけると、意識のある状態で、苦痛を伴いながら、毎日犬の姿に変わってしまう体質になったという。「以上だ。言うまでもなく他言無用だからな。俺は帰る。……お前が、もしかしたら飼おうと思っていたかもしれない犬が居なくてすまないけど、服を貸してくれ。洗って返す」
器用くんは同僚に言われるままに、適当なシャツとズボンを差し出した。「悪い。世話になった」「……なあ」「なんだよ」「ここに住めばいいんじゃねえの?」「お前それ本気で言ってるのか」コミュ障の目は嫌悪感に満ちていた。「だってもしまた、こういうことがあるとも限らないし」「二度としない」
「お前は気をつけられてもさ、他の要因から守ってくれる人、居るの?居ないっしょ。なんかあってさ、朝全裸で保健所の檻の中〜とかも困るだろ。俺ならきっと力になれるよ。ご存知の通り器用だから!な!」「……お前は犬を飼いたいだけだろ。ペットショップに行け」
「中身がお前だから面白いんじゃん」「クソが」
天才くんは器用くんの服を着て、愛想をつかせた様子で自分の鞄だけ持って出て行ってしまったが、彼が荷物を増やして再び戻ってくるのは、また別の日のお話である。おわり。


気が向いたら続くかもしれない。
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